始めに
もしも。
ガルーラが。
『しんそく』を覚えたら。
第六世代のプレイヤーなら、誰もが一度は考えたことがあるでしょう。
ふいうちだけでも強いのに、もしもタイプ一致の安定した先制技を持ってしまったらどうなるのか。
グロウパンチからの神速で無双したい。
猫騙し+神速で圧倒的なタイマン性能を保有したい。
親子愛により実質威力120、優先度+2の連撃が相手を駆逐する。考えるだけで恐ろしいですね。
メガガルーラの神速、ダメージ計算
神速は不意打ちと同じ威力ですが、タイプ一致補正により1.5倍となります。
▶︎意地っ張りA極振りメガガルーラと想定。
無振りガブリアス:113〜136ダメージ(61.7〜74.3%)確定2発
H4振りメガガルーラ:109〜130ダメージ(60.2〜71.8%)確定2発
耐久に振っていない相手で、かつ等倍であればほぼすべてのポケモンが確定2発圏内となります。
確定2発とならないポケモンの例としては、
無振りケッキング:109〜130ダメージ(48.4〜57.8%)高乱数2発
ちなみに無振りケッキングの物理耐久は、メガガルーラのBをそのままにHを225まで上げたと考えると分かりやすいです。
つまり耐久無振りのポケモンのみならず、H振りだけのポケモンもほとんど確定2発、または乱数2発圏内となるでしょう。
これまでのガルーラ対策が通じるのかどうか
グロウパンチでA2段階上昇したときの神速なら、確定2発だった相手が確定1発となります。
それを優先度+2で放てるのですから、マッハパンチや疾風ブレイブバードに縛られる心配もありません。
これまでガルーラを『上から殴る』という手段で攻略していたパーティにとっては大打撃ですね。
もちろん神速を半減できる岩・霊・鋼で上から殴ろうとすれば、これまで通り不意打ちが飛んでくるでしょう。
神速+不意打ちの両立がありえるかどうかはともかく、2タイプの先制技を持つことでより広い範囲を縛れる厄介さが生まれます。
考えられるガルーラ対策は、
①ゴツメ耐久ポケモン
②おにび
③神速+不意打ちを半減できる、メガルカリオやテラキオンで上から殴る。
④耐久ゴーストポケモン
といった感じですね。
これらが神速ガルーラに通用するか、ひとつずつ見ていきます。
①ゴツメ耐久ポケモンについて
メガガルーラ対策として最もメジャーだと思われます。
しかしHB特化クレセリアでさえ、グロウパンチ+すてみタックルで突破され、かつゴツメ×4+反動を耐えられる恐れがあります。
(詳細は『203ガルーラ』)
一見これは神速ガルーラとまったく関係のない話に見えるかもしれませんが、そんなことはありません。
これまでガルーラの先制技はふいうちという安定性に欠けた技でしたが、安定かつ優先度も高い神速を持つことにより、気兼ねなくSを削ることができます。
すなわちHAベースにしても不自由なく動けるので、203ガルーラ、またはそれ以上の耐久を持つガルーラが環境に増えるでしょう。
HPが1でも残っていれば、A2段階上昇した神速で暴走します。ファイアローのブレイブバードにも縛られませんので、不意打ちガルーラと比べてトドメを刺すのが難しいです。
そのため、ゴツメで対策するならライボギャラなどの『威嚇+ゴツメ』の形を取る必要があります。
②おにびについて
誰で鬼火を撒くかにも寄りますが、これは変わらず有効な手段だと思います。
①で述べたようにガルーラのSラインが下がることも予想されるので、もしかするとHDアローでも上が取れるかもしれませんね。
(ただし、神速ガルーラ実装直後はSラインが低くても、しばらくすると鬼火対策で早いガルーラが流行する可能性も高いです)
ガルーラの技構成をしんそく/グロウパンチ/すてみタックル+1とすると攻撃範囲に難があり、身代わりを搭載する余裕が無くなってきます。
この影響もあり、鬼火はより当てやすくなるでしょう。
③神速+不意打ちを半減できる、メガルカリオやテラキオンで上から殴る、について
どうしても上から突破したい人向け。
ただしグロウパンチを積まれていると、半減の神速でも確定2発圏内となります。手痛いダメージは覚悟しなければなりませんね。
グロウパンチを積まれていなければ神速も怖くありません。
ガルーラのHPが満タンだと格闘での突破も確実ではありません。
ルカリオで突破する場合、もし従来のASガルーラなら、シンカ前は抜かれているので地震で突破されてしまいます。
シンカ前から抜けたとしても、特殊型では突破が出来るとは限りません。
というのも、なんとガルーラはA全振りした余りを耐久に回すことで、乱数で波動弾を耐えることができるのです。
▶︎C極振りメガルカリオの波動弾のダメージ計算
H180 D76振りメガガルーラに対し、180〜212ダメージ(88.6%〜104.4%)低乱数1発
信じがたいことですが、あくまでもA全振りしたあまりを耐久に回しているだけです。
もしもAを調整程度に抑え、より耐久を高められた場合、半端な攻撃技での突破は厳しくなってきます。
(メガルカリオのインファイトクラスならばHB特化メガガルーラも確定1発です)
④耐久ゴーストポケモンについて
デスカーンやブルンゲル、ヤミラミなどでの対策ですね。
ガルーラといえばノーマル+じめんの範囲のイメージがあり、硬いゴーストならば比較的楽に受けられていました。
ただしガルーラが神速での全抜きを目指すならば、神速の通らないゴーストに対する『かみくだく』の搭載率が上がることも考えられます。
(火力が足りないので、硬いデスカーンや悪等倍のヤミラミは大丈夫だと思いますが…)
神速メガガルーラがどう環境に影響するか
火力インフレと言われている今の環境で、その一因となっているメガガルーラ。
しかし彼女が神速を持つことにより、インフレを抑制することができるのでは? と考えています。
高火力なポケモンがその火力を発揮するには、『行動する』必要があります。
行動前に倒されてしまっては自慢のパワーも意味がありません。
そこでHAベースのガルーラがグロウパンチを積み、神速で暴れたら……。
守るで加速したメガバシャーモすらあっさり止めてしまいます。
多くの高火力ポケモンは、ガルーラのグロパン神速で殲滅されてしまいます。
高速格闘とガルーラとの偶発対面が作れれば大丈夫ですが、それは確実とは言えません。
そこで環境からは、神速ガルーラを意識し攻撃重視の戦術は減少するでしょう。
では受けループのような防御重視にとって追い風か、といえばまったく違います。
ガルーラ自体が受けループに強いですからね。
火力インフレを抑えつつも、受けループを増やさない。
ではガルーラis最強かといえば、上記のような各種対策も揃っている。
KP最高はありえますが、相性や対策が存在する以上は最強となりえないはずです。
最後に
私はレートでガルーラを使うわけではありませんが、神速メガガルーラを実装してほしいと思っています。
ガルーラに神速は壊れ技だ、と考える方も多いと思いますが、元々ガルーラ自体が壊れているのであまり問題ないかなと思います。
厳しくなるとはいえ、これまで通りに威嚇+ゴツメや鬼火、耐久ゴーストで対策することもできますし。
そういったマイナス面を思うより、メガガルーラという初心者でも楽に勝てる手段を強化することで、より初心者が入り込みやすい環境を作れるのではと考えています。
……ここまで私の妄想にお付き合いいただき、ありがとうございました!
この記事は、レンカイさんに書いていただきました。
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